どうも、元ゲームイラストアートディレクターのハシケン(@conteanime)です。
クリップスタジオ(=クリスタ)でマンガを描く時に多く使用されている機能の1つに、「ライン抽出」というものがあります。いわゆる背景や小物を描くときに、写真などの素材から線画を取り出す機能です。
イラストに使うことはそこまで多くないかもしれませんが、知っているといざという時かなり役立つ機能なのでぜひ覚えて活用してみて下さい。
目次
ライン抽出機能はクリップスタジオEXのみ! え・・・PROにはない?

写真や素材などから線画を取り出すことのできる非常に便利な機能のライン抽出ですが、実はクリップスタジオペイントPROではできなくてクリスタEX限定の機能となっています。

★PROとEXの違いについては、クリップスタジオPRO/EXどっちがいい?違いを知って最適なソフトを選ぼう!で確認してください。
2021/08/09追記)

でも、EXのほうが基本的には簡単で楽ですw
▼PROしかない場合の線画抽出方法はこちら!
EXでの線画抽出のスタートは「レイヤープロパティ」から!


まずは、開いているクリップスタジオのキャンバス上に線画を抽出したい写真や画像を読み込む必要があります。
メニューバー「ファイル」ー「読み込み」ー「画像」か、もしくはキャンバスに直接ドラッグすることで『画像素材レイヤー』という状態で開くことができます。

★画像素材レイヤーに関しては、クリップスタジオ画像素材レイヤー使い方!描いた絵をタイル状に並べようで解説しています。
読み込んだらレイヤーパレットでレイヤーを選択した状態で、「レイヤープロパティ」の「ライン抽出」ボタンを押せばそれだけでもカンタンに線画を抽出してくれます。

抽出時の設定は黄色の辺りで色々と自由に変更することもできます、以下各項目で行えることになります。
- 黒ベタ閾値(しきいち)・・・黒ベタにする範囲を調整できます
- ライン幅調整・・・線の幅を調整します
- エッジ閾値・・・ノイズなどを飛ばせます
- 検出方向・・・見た目の印象を変えられるのでイメージに合う状態を選べます

ノイズ飛ばしについて
写真から線画を取り込みたい時にどうしても発生しがちなのが、ノイズの発生です。

エッジ閾値でかなりのノイズを飛ばすことができますが、好きなように調整したい場合は「色混ぜツール」の「ぼかし」や「フィルター」の「ガウス」で直接消すこともできます。
▼ノイズ処理のポイント▼
- ぼかしはブラシ濃度を変えて(15など)、使いやすくした上で行います
- 背景画像に使いたい場合、写真に写っている人物が邪魔なときはこの段階で消します
- 必要があればあとから背景に描き足し処理を行うこともあります

LT変換をすれば(主にマンガに使う用に)線画とトーンに分けて抽出できる!

線画を取り出すだけなら上の手順だけでも十分ですが、マンガに使う際は写真をもとに線とトーン処理を取り込みたいことがほとんどになるでしょう。
その場合に使うのが、「レイヤーのLT変換を実行」というボタンになります。


ちなみにLT変換に関しては、前章で書いたノイズ処理関連のぼかしやガウスなどひと通り終えたあとにやるのが一般的です。
また、LT変換をした画像は元に戻せなくなるので心配なら複製しておきましょう。
LT変換処理の流れ
ノイズ処理など一通り終わったら、レイヤープロパティにある「レイヤーのLT変換を実行」のボタンを押すと専用ウィンドウが表示されます。

「プレビュー」にチェックを入れておけば調整の様子がリアルタイムに見れるので、線画の際と同じようなイメージで様々なところを調整した上でOKを押すと線画とトーンが分かれて作成されます。
この段階ではラインにはまだアンチエイリアスがかかっているので、2値化して使いたい場合にはレイヤープロパティの表現色をグレー⇒モノクロにするのを忘れないで下さい。
もちろん3D素材だってLT変換はできる!
写真と同様の手順で、クリップスタジオにある3D背景や小物など数多くの素材もLT変換処理を行ってマンガなどに使うことが可能です。

※YouTube「ハシケンちゃんねる」より参照
例えば描くのが大変な拳銃などは、今回紹介したような手順を使ってマンガに取り込んで使っている人も多くいます。

まとめ

クリップスタジオには数多くの便利な作画補助機能が備わっていますが、中でも目をみはるレベルで助かるのが今回紹介した線画抽出と言ってもいいでしょう。
これがあることで作業効率が上がって助かっている漫画家さんは、世の中に山ほどいるはずです。

▼次はこちら!
クリップスタジオをパソコンで快適に使うおすすめスペックと機種の選び方