どうも、元ゲームイラストアートディレクターのハシケン(@conteanime)です。
『イラストレーター』といえば絵を描く人にとってある種の憧れ、理想の働き方の一つでしたが・・・ここ数年で状況は大きく変わってきました。
特に2022年夏ごろから一気に世間を騒がし始めた【AI】の影響は、今後イラスト業界にはかりしれない影響をもたらすのは間違いありません。
ということで今回はイラストレーターの今後と、絵描きとして後悔しない生き方が選べるためのヒントをくわしく紹介します。
目次
2023年最新! イラストレーターを取り巻く環境の変化
2023年の現時点では、多くの現役イラストレーターたちがそれぞれのフィールド・稼ぎ方によって一定の収入を得られています。
もちろん技術や経験が足りない人はその限りじゃないですが、少なくともこれまでイラストの世界で稼いできた人たちが以前より稼げなくなったという状況にはまだありません。
・・・ただ情報を集めていたりSNSをチェックしてる人の多くは、今後のイラスト業界はそんな甘くないと感じているはずです。
ついにクリエイターの仕事に直接侵食し始める【AI】
AIによるイラスト【画像生成】に関しては、もはやいちいち取り上げるのも難しいほど早い勢いで日々新たな展開が発表されています。
・・・・・・などなど。
今や【AIで作ったイラスト】に【AIで作った文章】を【AIの音声】で読ませて【AIで映像として動かす】・・・なんてところまで進んできていて、もはやイラストだけにとどまらず作家やアナウンサーなどのより専門的な職業すら脅かすと騒がれているほどです。
AIがいずれ人の仕事を助けてくれる状況は多くの人が想像しうる未来予想図だったでしょうが、多くの場合はブルーカラー的業務から削減するイメージだったはずです。
いつかそんな状況が実現するとしても、せめてもう10年ほどは先と考えていた人が大半だったでしょう。
それが2022年の『Stable Diffusion』の登場から一気に雪崩を打ってイラスト画像生成の質と速度は高まり続け、今やAI以上の絵が描ける描き手の方が少ないだろうレベルにまで達してしまいました。
たしかにまだ指など細部に関して甘い部分もありますが些細なことです、そこだけ人が修正すればいいわけですし何よりAIの進化の早さなら早々にクリアしてしまうでしょう。
そして学習元として使っている(といわれる)ネット上のイラストレータたちの絵に関する著作権のグレー(?)ゾーン問題さえ解決できれば、間違いなく企業の商業制作の場にもAIの波は押し寄せてくるはずです。
実際に絵やイラストの仕事現場で【AI】はどう使われていくのか?
自分が最後に勤めていたのは、スマホゲームの開発メーカーでした。
そこではゲームのイラストアートディレクターとして働いていて、ゲームに必要なキャラのイラストを作成するために
- イラスト作成の指示書を作る
- 外部や内部のイラストレーターに発注
- ラフ⇒線画⇒着色と工程ごとにチェック、監修、修正等
・・・という作業を日々行っていました。
これからAIが実践で使われるとしたら、おそらくイラストの『ベースを作成』する部分で使われるでしょう。
作業的に最も手間と時間・費用が掛かり、AIの恩恵が強大に受けられるためです。
イラスト監修のアートディレクターがAIに発注・指示し、出力されたイラストデータの細部を詰めて、どうにもならないところだけ内部のスタッフで直して完成・・・そんなこともありえない話ではなくなりました。
これからは、絵1枚を描いて収入を得るのは難しい時代になる・・・?
今は『ストックイラスト』など、自由に絵素材を作成してユーザーにダウンロードされれば小銭が入る形式も絵を描く人には人気の稼ぎ方です。
高い額を得ようとすると大変ですが、好きな絵を描いてひと月数万程度手にするのは可能なのでちょっとした副業にも最適でしょう。
ただし今後AIがよりイラスト作成の精度を高め、かつ誰でも使えるようになるとストックイラスト自体の存在意義も失われるかもしれません。
必要な絵素材を文章さえ入れればすぐに何パターンも用意できるなら、誰もわざわざお金を払ってイラストをダウンロードなんてしなくなるでしょう。
絵を描く対価は技術の割に描き手が多く元々高くなかったですが、その価値がこれから一気に下がりだすかもしれません。
そうなれば、これまで絵を描いて収入を得ていた多くの人たちが大きな影響を受けるでしょう。
需要と供給の崩壊
でもAIで1から誰でもそこそこの絵が生み出せてしまうなら、もはや描くこと自体にそれほどの価値を見いだせない人がどんどん増えていくでしょう。
CDがストリーミングやYouTubeで売れなくなったように、DVDやブルーレイがサブスク配信にとって代わられたように。
遠くない未来、誰かに絵を描いてもらう行為自体が全く需要を失ってしまう可能性は充分あるんです。
絵を描いてお金に変えられるシステムは近々あっさり終わるのかもしれません、だからこそ絵を描いて稼いできた人やこれから絵で稼ぎたい人は別の一手を考える必要があります。
なにがなんでも絵を描く収入で生きていくなら+α要素が必須の時代に!
それなりのイラストがAIであっさりできてしまう以上、これからイラスト業界自体がレッドオーシャンを通り越してただの荒野になってしまうことは十分あり得ます。
でもまだ『漫画』や『ゲーム』、映像商品などであれば絵を活用してできる道も残されています。他の人や企業にできない独特の世界観を打ち出していくことで、まだまだ可能性はあるでしょう。
とにかく何かしら+αの要素がないことには、これから絵で収入を得ることは非常に厳しくなるはずです。
あなたにしかできない表現や見せ方、世界観の構築も考えていかないと・・・ただでさえ人数の多いイラストレーターというレッドオーシャンで一緒にAIの闇に落ちていくことになりかねません。
むしろ絵は、趣味や副業に留めるのが一番いいのかも?
元々イラストレーターとして頑張ってる友人・知人は応援しても、今からその仕事に就きたいと言い出す人にはちょっと待てぃと落ち着かせたくなります。
ビジネスというものはニーズがないところでいくら頑張っても、絶対にうまくいきません。
自ら新たな市場を切り開くということもありますが絵は残念ながらそういう話でもありません、AIの登場によって価値観そのものがガラッと変化してしまう世界です。
とはいっても、個人として絵を描いて楽しむ行為自体はこの先も何も変わりません。
AIと共存できたら絵のツールとして便利な仲間になるかもしれません、対抗してムリにでもお金を得ようとするからAIの存在が厄介ものに感じられるだけです。
だからこそむしろ絵を趣味やごくライトな副業で留めた方が、絵を本業として生きていこうとするよりずっとラクになるんじゃないでしょうか?
まとめ
少し前には到底不可能だと思われていたことが、気づけばネットニュースで実現していたと知る・・・なんてことばかりの日々です。
特に2022年半ば以降の動きは、空恐ろしくなる勢いで進んでいます。
大きく時代が動くときは真正面からぶつかるよりも一歩身を引いて冷静に見極めることが必要です、もしかしたら新たなチャンスも見つかるかもしれません。
逆に今からイラストレーターになろうとすることは、残念ながらリスクが大きすぎます。
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