どうも、元ゲームイラストアートディレクターのハシケン(@conteanime)です。
今回は実際に長年絵の仕事をしてきて同僚や外注のイラストレーターさんと数多く接してきた業界目線もまじえて、イラストレーターというものの現実と今後について現実的な部分を詳しく紹介します。
目次
イラストレーターの働き方にはいくつかの種類がある!
今回はイラストレーターの仕事の種類ではなく、働く上でのスタイルで3つに分けて考えてみます。
フリーランスのイラストレーター(本業)
イラストレーターの仕事というと、フリーランスをまっさきに頭に思い浮かべる人も多いかもしれません。
フリーは自分ですべて好きに進めていけるのが魅力ですが、同時に仕事を自分で取りに行かないといけない過酷さもあります。
付き合いのある人から下請け的に絵の仕事をもらう形でないなら自ら営業的に動き回ったり戦略を練る必要もあります、常に次の仕事を得るために動く必要があることはフリーのイラストレーターの大前提として知っておくべきでしょう。
会社員のイラストレーター(本業)
意外と知らない人もいるかもしれませんが、普通に会社員として企業に属して日々イラストを描く仕事をしている人たちも数多くいます。
そんな『会社員イラストレーター』なら自分で仕事を探す必要はないですし、当然ながら給料や有給もあるので生活が安定したまま絵を描いて生きていくことができます。
就職するには専門学校に通った上での就職活動だったり、最近人気の転職相談サービスなどを使ってそれぞれにあった仕事を探す方法が一般的でしょう。
副収入を得たいイラストレーター(副業)
月10万円以上の売上ともなるとかなり量もこなして戦略も立てないと厳しいですが、2~3万円ほどであればある程度スキルがあって積極的に動いていれば充分可能と言えます。
会社で別の仕事をしたままイラストを描いてちょっと副収入を得たいとか、将来に備えて絵でお金を稼げるようになっていきたい人が副業的に始めるのは年々増えている印象です。
ただし最初から満足いく額が稼げることはほとんどないので、ある程度覚悟した上でまずは数をこなして経験を積むことを大事にしてください。
夢を諦められないなら答えを出す前にやっておきたいこと
難しい時代ではありますが、この先プロとして絵やイラストの仕事につきたい場合はあなた自身の画力や技術を必要最低限のレベルまで高める必要があります。
ここでは、実際に現在絵の仕事に就くために多くの人たちに利用されてきた手段をまとめておくので参考にしてください。
①専門的な学校を利用して上達する
芸大・美大、もしくは絵やイラストの仕事に特化した専門的な学校などに入って技術や知識を身につけたうえで絵の仕事につく人は圧倒的多数です。
以下ではイラスト関連で人気の高い学校を紹介しておくので、参考にしてみてください。
ヒューマンアカデミー
公式サイト:https://ha.athuman.com/
職場で役立つ実践的能力が身につけられる環境を重視していて、頑張り次第では在学デビューや早期内定も可能です。実際にインターンシップ(在学中の職業体験)を経験した学生の7~8割は通った企業にそのまま就職・アルバイト採用されている実績もあるほどなので、就活時の不安も少なく進めていけるでしょう。
全国に18校展開しているので地方在住でも通いやすく、都心部のイラスト仕事情報も共有できて不利になりません。イラストレーターや漫画家など80名以上ものプロの現役クリエイター講師による少人数制授業が評判で、苦手と感じる部分も一人ずつによりそった指導で克服に導いてくれます。
昼間の授業以外に夜間/週末講座があるだけでなく一般向けの【イラスト講座】も運営されていて、学校より費用や時間をおさえて絵が上達したい多くの人に利用されています。人気の『通信講座』も整っているので、希望や状況にあわせて検討しやすいでしょう。
②代替案!イラスト通信講座・教室などを利用してレベルアップする
学校より必要な時間と費用を落としつつ、プロの講師から直接教わることができるイラスト講座や教室を利用する手もあります。
実際にプロへ進むための場もあるので、カリキュラムがあなたのやりたいことに適しているか見定めた上で利用するといいでしょう。
以下では人気のイラスト講座を例として紹介しておくので、興味があれば公式サイトや資料請求などで確認してみてください。
ヒューマンアカデミー「イラスト・マンガ総合講座」
公式サイト:https://human-yakan.com/
大手専門校「ヒューマンアカデミー」の『イラスト・マンガ総合講座』はプロ講師による講義や添削で学べ、独学のような不安も少なく上達をめざせます。
超初心者~絵を副業にしたい人向けの内容がそろっていて、イラストの基本からクリスタの使い方・キャラクターデザイン・背景・マンガ…と多彩なコースから選ぶことが可能です。
通い/オンライン/動画から選んであなたの好きなペースで進められるので、仕事や家事で忙しくてもスキマ時間に好きな技術を高めていけるでしょう。
質問は直接聞く以外に24時間対応チャットもあり絵を描いてて悩んでもすぐ疑問を解消できます、受講終了後も教材は手元に残るので苦手部分も克服しやすいでしょう。
学校運営だからこそかもしれませんが描いて楽しむスキルをこれほど短期間(最長6ヶ月)で幅広く身につけられる講座は他にあまりありません、独学でムダに遠回りせず早く着実にうまくなりたい人には特におすすめです。
イラストレーターという仕事のこれから
イラストレーターという仕事が大きく注目されたのはバブル期前後といわれていますが、今は当時よりイラストを描く人口が増えて仕事自体の種類も増えたこともありイラストレーターになるための敷居はだいぶ下がっているのが実態です。
間口が広くなったということは同時に、職業的な希少価値は下がったとも言えます。
ソシャゲなどの影響もあってイラストの仕事の総量は近年増えてきましたが、描ける人も多いぶん仕事の取り合いは更に激化していると考えるべきでしょう。
デジタル普及、ソシャゲの流行とストックイラストが招いた『絵の仕事の価値と単価の下落』
2000年代後半から、デジタルで絵を描く環境が一気に一般化し始めます。
デジタルの便利機能を使えることで、絵のうまさの平均値もアナログオンリーの頃よりかなり上がりました。
それはつまり、ちょっと絵が上手い程度ではたいして目立てなくなったことにもつながるわけです。
また2010年代からソシャゲの流行があり、ゲーム内のカードイラスト大量制作需要のため技術のまだ未熟なイラストレーターも世の中に数多く生まれました。
ソシャゲからスマホゲームへの移行によりキャラクターの絵柄を1つのゲーム内で合わせることが増えたせいで作家の自然淘汰は多少ありましたが、それでもイラストレーター自体の数が以前より相当増えているのは間違いないでしょう。
そして、いまの副業的イラストの代表例とも言えるストックイラストの存在です。
イラスト素材を使いたい人に向けて、上の「イラストAC」など専用のサイトに様々な絵素材を作成してアップしておきダウンロードされたら1枚数円が描き手に渡ります。
満足行く収入に届かせるには何百枚とアップしたり戦略も必要ですが、絵でお金を稼ぐ最初の一歩としてわりと誰でも取り組みやすい手段として高い人気を集めています。
ただストックイラストというものが世の中にあふれればあふれるほど、以前までそのような素材的な絵を描いて収入を得ていたイラストレーターの仕事は確実になくなっていったはずです。
・・・これらの飽和状態が結果的に生み出したのは、イラストの仕事価値と単価の低下でしょう。
AI技術の進化
さらに気にしておくべきことが、『AI技術』の進歩の驚異的な速さです。
例えばペイントソフトのクリスタでは、自動で色を塗ってくれる『自動彩色』という機能があります。
・・・幸せか不幸か現在はまだこれだけで着色作業を完了でできるレベルではないですが、数年して技術が上がれば確実に自動彩色機能だけで着色のほぼ全ての工程が済ませられるようになっているでしょう。
さらに、少し前にあったニュースですが『OpenAI』というものもイラスト界隈で大きな反響を呼びました。
こちらもまだ発展途上な部分は残されていますが、もう少し品質が上がればストックイラストさえあと2~3年で不要になってしまうかもしれません。
長年、絵の仕事の現場で生きてきた一人として思うこと
業務内容的には遊戯機系アニメーションの原画・動画やキャラクターデザイン、絵コンテなどを経験したあとスマホゲームのイラストアートディレクターの仕事にうつって・・・その後2015年に独立したという経緯です。
特にスマホゲームの仕事をしていたときは同僚にもイラストレーターが多くいましたし、アートディレクターとして絵を監修する立場なので外部内部のイラストレーターさんたちと直接やり取りをしていました。
むちゃくちゃ上手い人もいればそうでもない人もいます、でもおそらくほとんどのイラストレーターさんに等しくあった気持ちは『絵を描くこと、その仕事自体が好きだ!』という強い想いでしょう。
イラストレーターの仕事は、決して高収入というわけじゃありません。社員として働いていればサラリーマン的給料はもらえますが、上限はそこまで高くありません。
でもそこまで高収入でなくても、描いた絵に修正を出されても続けられるのは皆どこまでも絵を描くことが好きだからだろうと近くで見ていて強く感じてました。
ただ自分の場合は絵を描いていたからマンガ家になりたいと思ったわけじゃなく、マンガ家になろうと思い立って絵を描き始めたという少し妙なタイプでした。
さらにマンガに挫折して絵の仕事に移ってからは割と早い段階で自分にはそこまで絵の才能がないと理解もしていた(・・・というか年齢もあったのでさらなる成長を諦めてましたw)ので、あとはどうやって業界で生き抜くかを考えて動いていき最終的に独立したという流れです。
絵、を描いていくだけで生きていくのは今後本当に大変なことだと思います。これは社員時代からひしひしと感じていたことです。
とにかく一定レベルの絵を描ける人が今は世の中にあまりにも多すぎますし、その分イラスト単価は下がる一方です。
これからAI技術がより具体的に絵の職場に侵食してきたら、ちょっとした作業は全部PC任せですんでしまい技術のそこまで高くない社員イラストレーターは容赦なく切られていくことでしょう。
絵のみを描いて生きていける人は、極々一部の限られた人だけになっていくはずです。それでも絵の技術を使って生き残りたいと思うなら、絵+アルファの価値観がないと本当に厳しい世界になるでしょう。
イラストレーターになりたい、諦めたいけど諦めきれない・・・人によって色々な想いがあると思います。
まとめ
すでに絵の仕事を目指している現在進行系の人の背中は押してあげたい気持ちですが、これからどうするかで悩んでいる人たちには一度立ち止まって考えてみたら・・・と声をかけたいのが率直なところです。
・・・それでもイラストレーターになりたい、諦められないと悩むときには『どうすれば人生のリスクを低くたもちながら取り組めるか?』という視野を持ってみるのはどうでしょう?
別にフリーや社員としてイラストレーターになることだけが、進み方ではありません。副業として、危険の少ない状態で絵の仕事を楽しみながらしたっていいじゃないというのが素直な思いです。
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あるいはすでに社会人として働いているけど、夢が捨てられず転職を考える人も少なくないんじゃないでしょうか?