どうも、アートディレクターのハシケン(@conteanime)です。
クリスタで絵を描く際に使うレイヤーには大きく分けて2種類存在しています、それが「ラスターレイヤー」と「ベクターレイヤー」です。
使い方や機能の大きく違う2つのレイヤーの特徴をしっかり知っておけば、あなたのやりたいことにより適した描き方を選べるようになります。
▼レイヤーの概念そのものについてまず知りたい場合は下記記事を参考にして下さい。
目次
クリスタのラスターレイヤーとベクターレイヤーの違い
ラスターレイヤーとベクターレイヤーは漠然と線を描いているだけだと一見違いがわかりませんが、実はやれることが全く異なります。
それぞれについて、特徴やメリット・デメリットをしっかりおさえておきましょう。
ラスターレイヤーのメリット①:細かく描いたり消したり、塗ったりできる
ラスターレイヤーは多くのツールが基本的にそのまま問題なく使えます。線も自由に描けて、色も同じレイヤーに塗ることができます。
ラスターレイヤーのメリット②:ぼかしたりフィルターなどで様々な効果を加えられる
クリスタにある様々なフィルターやぼかし処理、グラデーションなども自由に利用できます。
ラスターレイヤーのデメリット:拡大しすぎると絵が荒れる
ラスターレイヤーはドットという点の集まりによって画像を構成しています。
拡大するとドット自体を引き伸ばすので、ジャギー(荒いギザギザしたドット)が目立って絵が荒れるのがラスターレイヤーの特徴的な欠点です。
ベクターレイヤーのメリット①:変形や拡大縮小しても線が荒れない
ドットの集合体であるラスターレイヤーの画像とは違って、ベクターレイヤーの線はあくまで「情報」として管理されています。
上の図に見られるようなベクターレイヤーの線を構成している複数の点のことを「制御点」と呼びます。
ドットを引き伸ばすラスターレイヤーとは異なって拡大時に線の情報を置き換えて行うので、ベクターレイヤーに描いた線は拡大縮小してもラスターレイヤーのようにジャギーが荒れることはありません。
ベクターレイヤーのメリット②:描いた線をあとから自由に調整できる
ベクター線の最大のメリットの1つが、描いた線を後から自由に変更できる点です。
①描いた線を太く(細く)できる
②線を移動・回転できる
③曲線のカーブを変更できる
④線(制御点)をつまんで変形できる
ベクターレイヤーのメリット③:交点までの範囲で消すことができる
ベクターレイヤーもう1つのメリットは、「消しゴム」に関する非常にすぐれた機能です。
ベクター用消しゴムで「ツールプロパティ」の「ベクター消去」を「交点まで」とすると、下の動画のような消し方ができます。
勢いを殺さない線で作画しておいて不要な線をあとでまとめて一気に消す!・・・という非常に効率のいい描き方も可能になります。
ベクターレイヤーのデメリット①:塗るには不向き、ペンツール以外の描画ツールは使えない
ベクターレイヤーはあくまで線の情報の記録であるために塗りには不向きです。
強引に線を重ねて無理やり塗りつぶすことしかできないので、着色は別途ラスターレイヤーを作ってそちらで行いましょう。
ベクターレイヤーのデメリット②:大量の線を書き込みすぎるとデータが重くなることも
また、ベクターレイヤーで細かく描き込んでいくと上の画像のようにすべて線の情報として記録されていくのでデータの読み込みや反応が重くなることもあります。
便利なベクターレイヤーですが、たとえば顔や手のシワの集まりなど非常に細かい箇所の描き込みは別のラスターレイヤーで行うといいでしょう。
ラスター&ベクターレイヤーの作成方法
新規キャンバスを立ち上げたときに用紙レイヤーの上に自動で存在している「レイヤー1」は、基本的にラスターレイヤーとなっています。
ベクターレイヤーを用意する場合は、レイヤーパレットのボタンか[メニューバー]-[レイヤー]-[新規レイヤー]で「ベクターレイヤー」を選びます。
ラスターとベクターの見極めはレイヤー名の上にベクターのアイコンが表示されているかどうかで区別します。
▼レイヤーの細かい機能についてさらに知りたい場合はこちらも参照して下さい。
ラスターレイヤーとベクターレイヤーを変換する方法
ラスターをベクターに、ベクターをラスターに変換することもできます。
変換の手順は変換したいレイヤーを選んだ状態で[メニューバー]-[レイヤー](①)-「レイヤーの変換」(②)を選ぶと小窓が表示されます(③)。
「種類」の欄で変換したいレイヤーの種類を選び(④)「OK」を押せば変換できます。
クリスタのラスター&ベクターレイヤーの違いに関するまとめ
ざっくり使い方を分けるなら線画は「ベクター」、塗りは「ラスター」という感じで使用するといいでしょう。
ただし前述のように細かい線画をすべてベクターにすると重くなることもあるので、絵柄によっては多少気を使う必要があるかもしれません。